へりくつ剣道参考書

剣道家ブロガーのつぶやきです。大人から剣道を始めた自分だからこそ伝えられる内容を書いています。剣道に関するあれこれを、自分なりの解釈を交えながら綴ってまいります。

昇段審査のレベルは今と昔で同じ?違う?

みなさんこんにちは。

akikotapapaです。

 

先日、Youtubeでとある剣道の動画を観ていました。

 

観ていた動画は、第1回全日本選抜剣道八段優勝大会の動画で、教士八段の先生同士の試合でした。

 

ちなみに、どちらの先生の非常に有名な先生で、現在ではどちらの先生も範士になられています。

 

その動画を観ているとき、ある疑問が生まれました。

 

それは、20年前(2000年頃)と現在(2020年)で、剣道のレベルは変わっているのか?というものです。

 

身近なところで聞く話では、昔は昇段審査で合格することは難しかったが、最近は昇段審査の合格基準が甘くなっているという話を耳にすることがあります。

 

そこで今回は、今と昔で昇段審査のレベルが変わっているのかということについて、自分なりに考えてみようと思います。

 

ただ、誤解をされないように予め言っておくと、最近○○段に合格したから大したこと無いとか、昔○○段に合格したからすごいとかを言うつもりはありません。

 

特に何が正しいとかは無いと思うので、雑談程度の独り言だと思ってください。

 

 

■段位とは

まず、段位について簡単に整理します。

 

剣道における段位は、初段から八段まであります。

 

初段を受けるためには、満13歳以上である必要があります。

(その他に1級を有していることと言う条件もありますが、今回は説明は割愛します)

 

そして、二段以上を受けるためには、現在の段を受領してから、受ける段位マイナス1年の修行期間を経て受審資格が与えられます。

 

例えば、初段受領後、1年の修行を経て二段審査の受審資格が与えられ、二段受領後は、2年の修行期間を経て三段審査の受審資格が与えられます。

 

ただし、八段審査だけは、七段受領後10年以上修行し、かつ満46歳以上でなければ受審資格が与えられないそうです。

 

 

■中学2年で二段

では、初段が満13歳で受けられるのだとしたら、二段審査を受けられるのは最短で満14歳となります。

 

この年齢で初段も二段も一発合格だとすると、二段受領は14歳なので中学2年生となります。

 

中学2年生で二段を受領するということは、個人的には大変素晴らしいことだと思います。

 

昇段は早ければ良いというものでは無いと思いますが、修練度合いが高い状態であるという事の証明であり、そう簡単なことではありません。

 

 

■今と昔で昇段審査のレベルは違う?

しかし、この中学2年で二段受領というのが、20年前と今では難易度が違うと感じる人がいるようです。

 

実際のところ、直接比較できるものではないため、はっきりとしたことは言えないでしょう。

 

では、実際にレベルが変化しているのかという事を考えてみると、ちょっと見方を変えれば、この問題にはあまり意味は無いかもしれないという考えにたどり着きました。

 

というのも、今考えているのは二段の話です。

 

剣道には八段まであるわけですから、二段はまだまだ途中の段階、つまり通過点と言って良いでしょう。

 

八段を最終地点として考えてみたとき、八段のレベルが保たれていれば、途中の段位のレベルが多少上下しようが、あまり関係ないようにも思います。

 

 

■もっと高段位で考えてみる

では、二段ではなく、もっと高い段位で考えてみましょう。

 

上の方までいって七段審査で考えてみます。

 

七段審査となると、昔よりレベルが下がったという話はあまり聞こえてこないように思います。

 

その理由として思いつくのは「昔はまだ七段のレベルを知らなかったから」ではないでしょうか。

 

七段というのは、初段受領してからの年数で考えると、最短でも21年かる計算になります。

 

しかし、初段合格から21年で七段審査を受ける剣士というのは、日本全国で考えてもトップクラスの剣士だけでしょう。

 

一般的には、早くても30年から40年程度はかかるのではないかと思います。

 

この年数で考えれば「昔はもっとレベルが高かった」というような話はしようと思ってもできないのかも知れません。

 

 

■剣道は人間形成の道

もう一度、中学2年生で二段受領のレベルが高いか低いかの話に戻します。

 

剣道というものは、人間形成を理念として掲げております。

 

ということは、人間形成の修練度合いと段位がある程度比例するものと考えることができます。

 

もし、中学2年の二段審査のレベルが、昔に比べて今のほうが低いと思うのであれば、それは中学2年の頃の自分より、今の自分のほうが人間形成の修練度合いが上がっていると考えることもできるのではないでしょうか。

 

剣道のレベルが下がったのではなく、自分自身のレベルが上がったと言う考え方です。

 

ちょっと話は逸れますが、例えばドラクエで、初めて遭遇したゴーレムは異常に強く感じるでしょう。

 

しかし、ある程度自分のレベルが上がれば、最初の頃のゴーレムなんて通常攻撃一発で仕留められるほどに弱く感じるでしょう。

 

何が言いたいかと言うと、自分のレベルによって、相手のレベルが異なって感じるということなのかも知れないという事なのです。

 

 

■剣道人口を減らさないように

もうひとつ、本当に審査のレベルが下がっているのだとした場合、考えられることがあります。

 

それは、剣道人口を減らさないということです。

 

昇段審査というものは、厳しくしようと思えばいくらでも厳しくできるでしょう。

 

しかし、特に入り口とも言えるであろう初段や二段の昇段審査の合格率が下がれば下がるほど、剣道を続けたいと思う人数の割合は間違いなく減るでしょう。

 

そうなれば、せっかく剣道に興味を持って剣道を始めた人たちが、剣道を嫌いになってしまうことにも繋がりかねません。

 

それでは剣道の発展は望めないため、昇段審査のレベルを下げざるを得ないということもあり得るのかもしれません。

 

剣道を本当の意味で盛り上げるなら、昇段審査は厳しくして、剣道界全体のレベルを上げるのが良いとは思う一方で、一概にそうもできないというジレンマもあるのでしょう。

 

ある意味、剣道界に限らず、段位制を設けているもの全てに言える永遠の課題なのかもしれません。

 

 

■まとめ

いかがでしたでしょうか。

 

今回は、今と昔で昇段審査のレベルが変わっているのかということについて考えてみました。

 

昇段審査のレベルというものは、六段以上の段位のレベルが維持されていれば、二段や三段のようにひとつの通過点となるような段位では、あまり重要ではないのかもしれません。

 

そして、六段以上のレベルと言うものは、相当に難しいものであることには今後も変わらないのではないかと思います。

 

剣道というものは、心と心の勝負の要素が非常に大きいものだと思っています。

 

段位のレベルにとらわれ過ぎることなく、自身の鍛錬に集中していれば、自然と昇段審査のレベルも気にならなくなるのかもしれません。

 

これからも先を見据えて、剣道修行に邁進してまいりましょう。