みなさんこんにちは。
akikotapapaです。
打突の瞬間の手の力の入れ方について「雑巾を絞るように」や「手拭いを絞るように」と教わった方はいないでしょうか?
実は、雑巾を絞るようにというのは、正しくないようです。
そこで今回は、打突の瞬間の手の力の入れ方についてお話ししようと思います。
■雑巾絞りは意味がない?
まず、雑巾絞りの動作を思い浮かべてみてください。
これを竹刀の柄でやることを考えると、柄の軸に対して、右手は反時計回りに動かし、左手は時計回りに動かすというように、左右の手を反対方向に動かすことになります。
しかし、構えている状態でこの動きをして、竹刀は動くでしょうか?
雑巾絞りの動きを竹刀の柄でしたとしても、竹刀は動きません。
竹刀が動かないという事は、竹刀を振る動作には関係のない動きと言わざるを得ません。
それどころか、左右の手の親指と人差し指が絞る力のメインとなり、無駄な力ばかりが入った硬直状態の手となってしまいます。
このような手では、正しく竹刀を振る事は出来なくなってしまうのです。
■正確には茶巾絞り
では、なぜ雑巾絞りという教えが出てきたのでしょうか。
元々は雑巾絞りではなく、茶巾絞りという教えでした。
しかし、絞るという言葉から雑巾絞りを連想して、いつしか現代に馴染みのある雑巾絞りに変換され、それが広まってしまったようです。
もし、先生に雑巾を絞るようにとか、手拭いを絞るようにと言われた時は、茶巾絞りのことだと頭の中で変換するようにしましょう。
■茶巾絞りとは
では、茶巾絞りとは一体どのようなものなのでしょうか。
まず茶巾とは、茶道の時に使う薄い布巾のことです。
この茶巾は、雑巾に比べて大きさは小さく厚さも薄いため、雑巾のような絞り方をすることができません。
そこで、茶巾を絞る時には、左手の小指で手前に引くようにし、右手の小指で僅かに絞り込むようにします。
実際にやるとわかりますが、雑巾絞りと茶巾絞りでは、力の入れ方が全く違うのです。
■茶巾の絞り方を竹刀で行う
この茶巾絞りを、竹刀の柄で行ってみましょう。
まず左手は小指を中心に、薬指と中指を合わせた3本の指で柄頭をきゅっと握りつつ、軽く手前の方向に引き寄せます。
右手も同様に、小指から中指にかけての3本で柄を圧するように締め、自分から見て奥の方へ、柄を伸ばすような気持ちで軽く押します。
この左右の手の力を締めたり緩めたりした時、剣先が上下に少し動いていれば良いと思います。
また、左右の手に感じる私なりの感覚としては、手のこの部分が一番柄と強く当たっていると良い感じだと思っています。
この作用を打突の瞬間に行うことができれば、当たる瞬間に剣先が走り、冴えのある打突になると思います。
■武士に茶道は当たり前だった
ところで、茶巾絞りというものは、茶道をやっていなければまったく馴染みのないと思います。
この馴染みのない茶巾絞りを例に挙げている理由は、そもそも武士には茶道の心得があったようです。
なんで武士が茶道?と思うかもしれませんが、江戸時代には、お茶をたてるということが江戸幕府の儀礼として正式に取り入れられており、茶道の心得が必要なものとなっていたそうです。
■まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、打突の瞬間の手の力の入れ方についてお話ししました。
剣道と茶道は、一見関係ないように見えますが、武士がいた時代背景を考えてみると、深く関わっています。
このように茶巾絞りだけでなく、細かい所作も含めた剣道の教えの中で、これは何だろう?と思うものがある時には、武士の時代背景を考えてみると、ヒントになるものが見えるかもしれません。
そして、そのような疑問を持ち考えることで、自身の剣道に対する知識や理解が深まり、上達にも繋がってくると思います。
是非、先生から教わったことをただ聞くのではなく、考える癖をつけて、自分のものとして体得できるように努力していきましょう。