へりくつ剣道参考書

剣道家ブロガーのつぶやきです。大人から剣道を始めた自分だからこそ伝えられる内容を書いています。剣道に関するあれこれを、自分なりの解釈を交えながら綴ってまいります。

大人から始める剣道 基本講座 ~払い技~

みなさんこんにちは。

akikotapapaです。

 

今回は初心者のための剣道基礎講座 ~払い技編~ です。

 

剣道って、上手な人に質問するといろいろ教えてくれるのですが、上手な人ほど小さい頃から続けているので、身体の感覚で覚えて実践している人が大半なんです。

 

そこで、大人から剣道を始めた自分だからこそ伝えられる、剣道初心者向けの剣道上達へのヒントを集めました。

(すでに有段者の方へはあまり参考にならないと思います・・・)

 

今回は払い技についてです。

 

 

■払い技の意義

まず、払い技を使うために、どのような目的で払い技を出すのかという事を考えておきましょう。

 

払い技を出す目的は、基本的には相手の剣先を自分の中心から外すことが目的です。

 

もし、相手の剣先が自分の中心に向いた状態にもかかわらず、そのまま面を打ったらどうなるでしょうか。

 

自分の胸元や突き垂れに竹刀が突き刺さり、間合に入れません。

 

このように相手の構えに阻まれていては、いつまでも有効打突を奪うことはできません。

 

そのため、相手の竹刀の剣先を自分の中心から外すということが必要になってきます。

 

そこで登場するのが、払い技ということになります。

 

 

■払い技の種類

ひとくちに払い技と言っても、いくつか種類があります。

 

一般的なのは次の3つといったところでしょう。

・相手の竹刀を表鎬側の上から払い落とす

・相手の竹刀を表鎬側の下から払い上げる

・相手の竹刀を裏鎬側の下から払い上げる

 

そのときの状況や、払った後に打ちたい技によって、どの技を使うかというのが変わってきますが、組み合わせ方は様々です。

 

払い技には、面を打ちたいから払い上げるとか、小手を打ちたいから裏から払うというような決まりや法則はありません。

 

例えば、裏から払い上げたとして、その後に面を打つこともあれば、小手を打つこともあります。

 

また、表から払い落としてから面を打つこともあれば、相手が払い落された竹刀を構えの位置に戻す動きを利用して小手を打つということもあります。

 

 

■払い技の有効な活用法

では、相手の竹刀を払い落としたり、払い上げたりした後に打つ技は、どのように使い分けをしたら良いのでしょうか。

 

それは、相手の竹刀を払った後に、相手がどのような反応をするかによって使い分けるのが良いでしょう。

 

もし、相手の竹刀を表鎬側から払い落としたとします。

 

その後、相手は構えの位置に竹刀を戻そうとしますが、戻す力が強すぎるために、元の位置を少し通り過ぎたとしましょう。

 

そうすると、小手が空きます。

 

そのような相手の場合には、表鎬側から竹刀を払い落とし、構えの位置に戻そうとして構えの位置を通り過ぎた瞬間に小手を打てば良いのです。

 

逆に、相手が竹刀を戻すのが遅いと感じた場合には、裏鎬側から竹刀を払い上げ、相手の竹刀が返ってくるまでは小手が空いているはずなので、小手を打つという感じです。

 

上記2つはあくまで例えばの話であり、組み合わせ方は無限にあるでしょう。

 

払い技というものは、相手の動きの癖を利用するきっかけとして使うことで効力を発揮するものなのです。

 

 

■相手の竹刀のどこを払うか

では、相手の竹刀を払う際、どこを払ったら良いのかを考えます。

 

まず、払う時の竹刀の移動量(幅)は同じと仮定し、相手の竹刀を払う位置によって、払われる竹刀の動きがどう変わるのかを絵にしてみました。

 

パターン①:相手の竹刀の剣先近くを払う

パターン②:相手の竹刀の鍔元近くを払う

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単純に三角関数の考え方ですが、相手の竹刀の剣先を払った場合と鍔元を払った場合では、自分の竹刀の移動量に対して、相手の竹刀の振れ幅が変わることがわかると思います。

 

ということは、自分の動きを小さくしつつ相手の竹刀を大きく動かそうとする場合には、相手の竹刀の鍔元を払うのが効果的と言うことになります。

 

 

■鍔元を払うには、より大きな力が必要

相手の竹刀の鍔元を払う事で、相手の竹刀が大きく動くことはわかったと思いますが、相手の竹刀の鍔元を払うということは、同時に相手の手元の近くを動かすという事になります。

 

相手の手元の近くを動かすという事は、より大きなエネルギーが必要になるという事です。

 

その理由は、てこの原理や力のモーメントの考え方に似ていると思いますが、説明に計算式を使うつもりは無いので、あえてなんとなくのイメージで言います。

 

「相手の力がより伝わりやすい手元を動かそうとするから」です。

 

例えば長い棒を持ったとして、手元に1kgの重りを乗せるのと、棒の先の方に1kgの重りを乗せるのでは、手にかかる負担は全く異なります。

 

これと同じで、自分の力は同じでも、その力をかける位置が相手の竹刀の剣先なのか鍔元なのかによって、相手が感じる力は異なるのです。

 

 

■払うときは体重を乗せて

では、どのように大きな力をかけたら良いのでしょうか。

 

それは、竹刀に体重を乗せて払うということです。

 

竹刀に体重を乗せると言っても、竹刀に上から踏みつけるという意味ではありません。

 

重力を使って下方向に力をかけるのではなく、質量を利用して前方向に力をかけるのです。

 

腕の力で竹刀を振り回し、相手の竹刀を払い落とす訳ではありません。

 

構えの形を保ったまま、自分の竹刀の物打ちが相手の竹刀の中心を割るように前に進みつつ、小さく鋭く払えば良いのです。

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質量を利用するというのは、自分の体重を前に動かす運動エネルギーを利用するという事になります。

 

こうすることで、自分の竹刀はほとんど動かさないまま、相手の竹刀は大きく自分の中心から離れていくのです。

 

 

■まとめ

いかがでしたでしょうか。

 

今回は、払い技についてお話ししました。

 

払い技と言うのは、最初のうちはなかなか使いにくく難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。

 

相手の竹刀を払ってみたものの、特に相手に響いてない!というようなことは、私が1級審査を受ける頃によく感じていたことです。

 

払い技と言うのは、木刀による剣道基本形でも登場しますが、使い方によっては試合でもかなりの力を発揮します。

 

飛び込み技だけでなく、払い技を身に付けて、試合でも活用できるように稽古を重ねましょう。

 

後述

そんなやり方や考え方は間違っている!と言う方もいらっしゃかもしれませんが、自分はまだまだ修行中の身です。

あくまでひとつの意見・見解として捉えていただけると幸いです。