へりくつ剣道参考書

剣道家ブロガーのつぶやきです。大人から剣道を始めた自分だからこそ伝えられる内容を書いています。剣道に関するあれこれを、自分なりの解釈を交えながら綴ってまいります。

剣道における「上半身を一拍子で動かす方法」を図で解説!

みなさんこんにちは。

akikotapapaです。

 

以前、こんな記事を書いたことがあります。 

www.akikotapapa.com

 

一拍子の動きと言うのは、動きの早さではなく区切りの無い動きであるというお話をしました。

 

一拍子の動きを思い浮かべてみると、タイヤやボールが転がっている状態というのは、どんなに時間がかかっても一拍子でしかありません。

 

つまり、円運動や球体の運動というのは、一拍子の動きの究極の姿であると考えています。

 

そこで今回は、一拍子の動きの理論と、剣道における上半身の一拍子での動かし方についてお話ししようと思います。

 

 

■人の動きは円運動で成り立っている

まず、身体の構造から考えてみます。

 

身体は、骨と骨が各関節を介して繋がっています。

 

骨だけでは重さを支えられないので、筋肉で骨の動きをコントローしています。

 

例えば、右ストレートパンチを出すとしましょう。

 

このとき、拳は直線的に動きますが、どうやって拳を直線的に動かしているのでしょうか。

 

それは、肩関節を使った上腕の円運動と、肘関節を使った前腕の円運動を上手く利用して、拳を直線的に動かしているわけです。

 

各関節に繋がる骨の動き自体は、全て円運動から成り立っています。

 

これは右ストレートに限った話ではなく、テーブルの上に置いてあるスマホを取るときでも、関節の動きを利用した骨の円運動を活用して、手の位置をコントロールしています。

 

骨の長さを伸縮させてコントロールして動いている人はいません。

 

何をするときでも、常に円運動を活用して生活しているのです。

 

 

■二拍子の動きになる理由

円運動は究極の一拍子であり、人の動きは全て円運動から成り立っているというお話をしました。

 

では、なぜ人間は二拍子の動きをしてしまうのでしょうか。

 

その一番の理由は、筋力で無理やり動いているということが考えられます。

 

どういうことかと言うと、ボールやタイヤが自然に転がっている状態というのは、基本的に等速運動です。

 

等速運動というのは、加速も減速もしない状態です。

 

しかし、人間の筋肉は、いきなり初速からMAXスピードを出すことはできないため、加速運動になります。

 

また、動いている最中に往復運動をするような、力をかける方向を変えたりするときに筋力を使うと、それをきっかけに加減速が発生してしまいます。

 

この筋肉を使って往復運動をするというのが、1拍子の動きを阻害している要因となるのです。

 

 

■剣道における上半身の一拍子の動作とは

それでは、ここまでの内容をもとに、剣道における上半身の動きが二拍子にならないためにはどうしたら良いのかを考えていきます。

 

上半身の動きが二拍子になってしまう理由として、振り上げの動作での力の方向と、振り下ろしの動作での力の方向を、筋力で無理やり変えていることが理由だと考えています。

 

どう言うことかと言うと、振り上げと振り下ろしの動作をする際、腕が往復運動をするような状態が二拍子を作り出しているのです。

 

①で振り上げ、②で振り下ろすという具合です。

 

これは、振り上げの動きとは反対方向に振り下ろすことになります。

 

ということは、振り上げから振り下ろしの動作に移行する間に、動作の頂点が出来てしまいます。

 

このように動作の頂点が出来てしまうと、一と二の動作に区切られてしまうのです。

 

逆の言い方をすれば、一拍子の動作をするためには、動作の頂点を作らなければ良いのです。

 

 

■動作の頂点を無くした振り方

動作の頂点を無くすためには、動作の頂点を知る必要があります。

 

前述したように、腕が往復運動をしてしまっては頂点が出来てしまいます。

 

イメージで言うとこんな感じです。 

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振り上げから振り下ろしの間に、動作の頂点が発生します。

 

①の振り上げ動作が終わった瞬間ですね。

 

この頂点を境に、1と2の動作に分かれてしまうのが、二拍子になってしまう要因です。

 

では、動作の頂点をなくすことを目指して、動き量を少し小さくしてみます。

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これでも、振り上げ動作の直後に頂点ができてしまいます。

 

動く動作は小さくなったため、動き始めから終わりまでの時間は短くなるかもしれませんが、頂点があるため一拍子の動きとは言えません。

 

では、頂点をなくした動きを考えてみます。

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どうでしょう。

 

これなら、頂点が発生しません。

 

どこまでが①で、どこからが②ということも言えず、「全てでイチの動き」なのです。

 

ちなみに、黒い点線の矢印は構えの状態から打ち終わりの状態の左手の位置を直線で結んだ線になります。

 

一拍子を考えると、円運動に近いアーチ状の動きに近づいていくのがわかります。

 

実は、上の三つの絵では、構えの状態と打ち終わった状態の形はどれも同じです。

 

要するに、構えの状態から打ち終わりの形までをどのように動くのかによって、一拍子になったり二拍子になったりすると言うわけです。

 

 

■まとめ

いかがでしたでしょうか。

 

今回は、剣道における上半身の一拍子での動かし方についてお話ししました。

 

おさらい

 

・人間は円運動の組み合わせ

・動きの中に頂点ができると二拍子になってしまう

・一拍子にするにはアーチ状の動きにする

 

ひとつ注意しておかなければいけないことは、今回お話しした内容は、あくまで概念的なものであるということです。

 

今回紹介した三つ目の絵のような動きをすれば、完璧な一拍子の面が打てるようになるというわけではありません。

 

全てにおいて、円運動やアーチ状の動きにして頂点をなくすことで、二拍子になりにくいという意味を込めて、面の動きを例にしただけの話です。

 

理論を知り、その上で実践するときに、知った理論をどう活かすかは、一人ひとりの体格や筋力、柔軟性によっても変わってくると思います。

 

この理論を頭に置きつつ、自分なりの動きというものを研究していただければと思います。