へりくつ剣道参考書

剣道家ブロガーのつぶやきです。大人から剣道を始めた自分だからこそ伝えられる内容を書いています。剣道に関するあれこれを、自分なりの解釈を交えながら綴ってまいります。

武道における「はやさ」の意味について考える

みなさんこんにちは。

akikotapapaです。

 

剣道に限った話ではありませんが、武道における「はやさ」という言葉の意味を考えたことはあるでしょうか?

 

一般的に速さと言えば、筋力トレーニングをしていかに素早く筋肉を伸縮させるかという意味になりますが、武道においてはそうではないと私は考えています。

 

そこで今回は、私の考える「武道における”はやさ”の意味」についてお話ししようと思います。

 

先に言っておきますが、あくまで私個人の意見ですので、参考程度に読んでみてください。

 

 

■武道は力ずくで行うのではない

まず、武道というのは力ずくで行うものではありません。

 

相手との呼吸やタイミングをはかり、相手が反撃できない状況を作りだして攻撃を仕掛けます。

 

剣道でも同じことが言えます。

 

攻めて相手を居つかせる、もしくは手元を上げさせる等をして相手の動揺を誘い、その隙を打つのが剣道です。

 

力ずくで相手を突き飛ばして、よろめいたところを打つということではありません。

 

もし、力やパワーに任せた剣道をしているとしたら、ある程度年齢を重ねるにつれ、剣道ができなくなってしまいます。

 

武道で求めるものは、物理的な速さではなく、適切な体の運用により動作を早く終わらせることと考えています。

 

言い換えれば、全身を協調させて動かすということです。

 

 

■全身を強調させて動かすとは

例えば、肩関節の回転運動だけで竹刀を振ったとします。

 

そのときの竹刀の動きは、肩を動かした分だけの動きになります。

 

もし、肩だけでなく肘関節も使って同じ竹刀の動きを再現したらどうなるでしょうか。

 

肩関節と肘関節の回転運動を組み合わせることになるため、肩の動作は半分になり、残り50%分の仕事は肘関節が補ってくれます。

 

さらに、足も入れて考えると、それぞれ3分の1ずつの仕事量に減っていきます。

 

もっと仕事人を増やして全身の関節を動員したら、各関節の動作はほんの数%ずつの仕事で済むことになります。

 

このように、全身の動作を協調させることができたら、各関節はほんのちょっと動くだけで、肩だけで振ったときと同じように竹刀を動かせるのです。

 

身体全体を上手く使えば使うほど、身体の負担の偏りが減り、消費するエネルギーも小さくなるのです。

 

 

■はやく動かすには、同時に動けばよい

上記を踏まえて、身体をはやく動かすということについて考えてみます。

 

例えば、こぶしを握った状態から手を開くとき、できるだけ時間をかけないように開きます。

 

その時、①指の付け根から第二関節までを先に伸ばし、②その後第二関節より先を伸ばします。

 

自分が動かせる限界の速さで指を開いたとして、0.4秒かかったとします。

 

単純に考えると、①に0.2秒、②に0.2秒かかっていることになります。

 

この時間を短縮するためには、①と②を同時に行えば良いのです。

 

そうすると、動かしている力は同じでも、0.2秒で済むことになります。

 

また、0.4秒かかっていたものを0.3秒にするのであれば、それぞれの関節を動かす力は4分の3で済むのです。

 

同時に動かすということをするだけで、力を減らしても動作終了までの時間は短くなります。

 

いたって単純な話です。

 

だったら最初から①と②に分けないで同時に動かせば?と思うかもしれませんが、日常の動きは意外と①と②を分けた動きに近いです。

 

実際にやってみるとわかります。

 

同時に均等に動かすというのが難しいのです。

 

 

これは、手に限った話ではありません。

 

むしろ、全身となると果てしなく難しくなります。

 

各関節によって可動域も異なりますし、必要な筋力も動かす部位の大きさも異なります。

 

それぞれの関節の可動域の最大範囲を100%として、同じ%の割合で全身の関節を動かすのです。

 

例えば、しゃがんだ状態から膝を30%伸ばすと同時に、腰も30%伸ばすのですが、激ムズです。

 

 

■剣道の技として考えてみる

剣道で考えても同じことが言えます。

 

速く動こうとすればするほど、関節の動きがバラバラになって遅くなってしまいます。

 

なので、速く動くのではなく、全身をちょっとずつ同時に均等に動かすことに意識を変えるのです。

 

理論的には、これが動き始めから動き終わるまでの時間が最も短い状態となります。

 

でも、はっきり言ってほぼ不可能と言って良いほどできません。

 

出来ない理由は、それが日常の動きではないからです。

 

ならば、逆転の発想で日常の動きにも取り入れてみようというのもアリだと思います。

 

剣道など武道全般において、体の運用に限った技術向上で言えば、全身を協調させて動かせるようになることが最終目標と言えるのではないでしょうか。

 

 

■まとめ

いかがでしたでしょうか。

 

ブログタイトルらしく「へりくつ」をつらつらと述べてみました。笑

 

全身を協調させて動かすことができれば、「速く」ではなく「早く」動けます。

 

武道における速さとは、物理的な速さではなく、動作完了までの時間が早いという意味になります。

 

力ではなく、体の運用の技量を上げることで、身体の負担を少なくする。

        ↓

身体の負担を少なくすれば、心にも余裕ができる。

        ↓

さらに、体力が落ちてきても無理なく動ける。

 

といった具合で、できるだけ早い段階からこのことを意識して、歳をとっても若者に負けない「早さ」を身につけたいと思います。

 

目指すところは「歩けばそれ即武道」です。

 

これが答えと言うわけではありませんが、これをきっかけに考えてみてはいかがでしょうか。