竹刀の製作工程を知っていますか? ~職人魂を感じることは、使い手の責任~
みなさんこんにちは。
akikotapapaです。
私は、幼い頃から日本刀が好きでした。
今でも日本刀は大好きなのですが、先日、日本刀を作る動画を観ていたら、日本刀には職人の魂が詰まってるなーと強く感じました。
そこでふと思ったのが、日本刀以外のものでも、このような職人魂を感じることができたら、自然と物も大切に扱えるようになるのでは無いかということです。
しかし、その物の作られる工程を知らなければ、職人魂を感じることは出来ないでしょう。
剣道では、日本刀ではなく竹刀を使いますが、竹刀は竹からどうやって作られているか知っていますか?
今回は、竹刀が作られる過程についてお話ししようと思いますが、この記事を通して、竹刀の職人魂を感じるきっかけ作りのお手伝ができればと思います。
■伐採した竹を干す
まず竹刀というのは、ご存知の通り竹からできています。
しかし、竹は普通は緑色ですが、竹刀は緑色ではありません。
その理由は、竹を伐採してから2年以上もの間、陰干しをするためです。
竹刀というのは、竹を伐採してすぐに作り始められる訳では無いのです。
この2年以上という時間をかけて陰干しすることで、色が緑から薄橙色のような色に変化するのです。
■一本の竹から4枚1セットの竹を作る
陰干しが完了すると、次は一本の竹を6枚から8枚になるよう、縦に割ります。
縦に割ったままの竹では、まだ竹刀の竹の形ではありません。
この状態から徐々に竹の幅を整える作業に入ります。
まずはナタを使って、竹の幅を大まかに揃えていきます。
その後、4枚の竹を1セットにして、かんなを使って竹の幅を更に揃えます。
幅を揃えた4枚の竹を火であぶることで竹の繊維を柔らかくし、竹の曲がりやねじれを直して竹刀の形に整えます。
この火であぶるという作業は、ここで上手くいかなければ、これ以降の作業も上手くいかなくなってしまという、竹刀を作る上で最も重要な工程であり、まさに職人技なのです。
その後、竹の表側と裏側の角を削って丸みをつけ、裏の側面を45度の角度にして、4枚の竹を竹刀の形に組めるように竹同士の合わせ面を整えます。
こうして4枚の竹が竹刀の形に合うようになるのです。
ここに寸分でも狂いがあると、竹同士の間に隙間ができてしまったり、ガタついてしまったりということが起こりかねません。
竹刀が竹刀として十分に機能できるかは、この工程に懸かっていると言っても過言ではないでしょう。
■竹表面の仕上げ
4枚の竹が合うようになったら、今度は表面の加工に入ります。
1枚ずつ、竹の表側の左右両側を削り、表側に見える竹の皮部分が左右どちらかに偏らないようにします。
ここで竹の皮部分がどちらかに偏ってしまうと、見た目が悪くなってしまうだけでなく、その竹のバランスも悪くなることに繋がってしまうでしょう。
竹の節にヤスリをかけ、さらにカキという道具を使って、削った面を滑らかにしていきます。
さらに、かたい鮫皮で竹の表面を磨くことで、竹の表面が潰れて表面が滑らかになるのです。
これは個人的な見方ですが、表面を滑らかに仕上げることで艶ができるだけでなく、角張った部分がなくなり安全面での意味もあるのではと思います。
■いよいよ4枚の竹が合体
4枚の竹を竹刀の形に合わせ、鉄の板を柄の内側に埋め込み、4枚の竹がずれないようにします。
竹刀を自分で分解したことがある方は見たことがあるのではないでしょうか。
この鉄の板のことを「契(ちぎり)」と呼びます。
4枚の竹がひとつの竹刀として結びつくきっかけとなる契、なんとなく格好良くて好きです。
その後、竹刀が寸法通りの長さになるように切ります。
柄部分の節を削りとり、柄の部分の断面が丸になるように削ります。
竹刀を持った時にしっくりくるもの、しっくりこないものがあると思いますが、その感覚に大きく働きかけるであろう柄の太さや形、長さが決まるのです。
最後に紙やすりで表面を仕上げれば、竹刀の竹部分の完成です。
あとは柄革や先革、弦と中結いを組めば竹刀の出来上がりです。
■まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、竹刀が作られる工程を説明しました。
剣道における竹刀とは、武士で言う「刀」に相当します。
刀は、自分の命を守るための武器であり、また武士の魂とも言われ、非常に大切にされていました。
今でも、日本刀は居合道などでも使用されていますが、国宝や重要文化財として保存されているものもあります。
剣道では、この日本刀の代わりに竹刀を使う訳ですから、日本刀と同じように大切に扱いたいものです。
竹刀をただの道具、消耗品として使うのではなく、自分の竹刀に愛着やこだわりを持てるようになると、竹刀の持ち方や振り方にも品が出てくるのではと思っています。
竹刀に限ったことではありませんが、職人の魂を感じて道具を使うという事は、道具の使い手の責任と考えています。
職人の想いに応えられるような竹刀の使い手になれるよう、精進して参ります。